基礎研究を応援するクラウドファンディングに注目

ノーベル生理学医学賞を2016年に受けた大隅良典さんがつくった公益財団法人「大隅基礎科学創生財団」が、「面白い研究をみんなで支えよう」とクラウドファンディング(クラファン)を始めた。2人の研究者の研究費を支援するという新しい枠組みで、募集締め切りは5月22日。クラファンといえば、国立科学博物館の「大成功」が記憶に新しいが、研究者個人を支援する取り組みの行方は果たしていかに?
高橋真理子 2026.05.01
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オートファジーという、細胞が自分自身を分解(自食作用)するメカニズムを解明して、ノーベル生理学医学賞を単独(ノーベル賞は同時に3人まで授賞可能。単独授賞は、業績が極めて抜きんでていた証)で受けた大隅良典・東京科学大学栄誉教授は、受賞直後から「日本では基礎研究がやりにくくなっている」と危機感を世間に訴えてきた。

オートファジーはがんなどの病気の新しい治療法の開発につながるとして注目されているが、大隅さん自身はあくまで「細胞が持つ不思議な能力を明らかにしたい」という好奇心から酵母を材料にコツコツ研究を進めてきたという。国の方針が「競争的資金重視」と変わったために、研究者が「資金を得られそうな研究」つまり「すぐに役に立ちそうな研究」ばかりを志向するようになり、純粋な好奇心から取り組む「基礎研究」ができなくなっている、それはのちに得られるであろう大きな成果を失うことになる、というのが大隅さんの危機感だった。

現状を憂えるだけでなく自ら行動しようと、受賞の翌年、ノーベル賞の賞金をもとに「大隅基礎科学創生財団」を設立。企業などから寄付を集め、2017年度から毎年、生物学やその周辺の独創的で挑戦的な研究を募り、応募された中から10件程度を選んで2年間の助成金を出してきた。

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