名物教授が遺伝研所長となって取り組む「ゲノム生成AI」―ゲノムを創り出すAIとは一体なに?
のちにノーベル賞を受ける本庶佑・京都大学教授のもとで助手だったとき、隠れてやった魚の研究がバレて京大を首にされたという有名なエピソードを持つ近藤滋さんが、2024年12月から国立遺伝学研究所の所長になった。1949年設立のこの老舗研究所がいま新たに取り組んでいるのが、ゲノム配列を生成するAI(人工知能)の研究である。「何それ?」と「?」が頭の中にあふれる状態で、静岡県三島市にある同研究所を訪ねた。
高橋真理子
2026.05.07
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ノーベル賞学者・本庶佑教授からクビを言い渡された助手
かつて近藤さんがこっそりやっていたのは、「魚の体の縞模様はどのようにしてできるのか」を突き止める研究だ。そのために自宅で熱帯魚を飼った。知りたいという好奇心から、やらずにはいられなくなった研究だったが、本庶研は全員が免疫学の研究に邁進していた。魚の論文がネイチャーに出た時点で、「魚か免疫学か」の二者択一を教授から厳しく迫られ、近藤さんは魚を取ったのだった。その後、理化学研究所や大阪大学などで研究を続けてきた。
「僕は基本的に一人で研究をしてきたから、しがらみがない。自由なんですよ。専門が理論生物学だから、そうできた」。所長室で語り始めた近藤さんは、饒舌だった。喋り好きは「昔から」。「小学校の誕生日会はいつも僕がMCをやっていた」。