原発事故を取り上げた7月15日付「天声人語」への違和感
朝日新聞の7月15日付天声人語は、チョルノービリ(チェルノブイリ)の原発事故のあとに近くの村に生まれ、病に苦しんだすえに18歳で亡くなった子どもを取り上げた。そこに「決して、遠い国の不幸ではない」とあった。いやいや、福島事故のあとに生まれた子どもに放射線の影響など出ない。それを伝えずに「同じ原発事故」として語るのは、福島に暮らす人々を不安にさせ、傷つけるだけだと、つい憤慨してしまった。
高橋真理子
2026.07.21
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「そんなつもりはない」と天声人語の筆者は言うのかもしれない。しかし、私は一読して「根拠のない不安を与えてしまう」と感じた。二つの原発事故は、飛び出した放射性物質の量も違えば、対策の様相も異なり、さらにはその対策をきちんと実行できたのかにも大きな違いがあった。福島では、事故後に生まれた子どもが原発事故による放射線の影響を受けることは「ない」。そう断言できる。ところが、それを知らない方も少なくないように感じる。そういう人がこの天声人語を読めば不安に思うだろう。
チョルノービリはウクライナ語で、チェルノブイリがロシア語だ。新聞ではチョルノービリと記載するようになったが、ここではすでに定着している呼称として「チェルノブイリ」を使うことにする。2011年に東京電力福島第一原子力発電所事故が起きたとき、私は朝日新聞科学部の記者だった。未曽有の大事故に衝撃を受け、必死に取材をし、記事を書いた。とくに健康影響についてはその後も折に触れて取材を続けた。
こうした経験を踏まえ、チェルノブイリと福島はどこが違うのかを解説したい。さまざまな違いがあるが、話を健康影響に絞る。「放射線のことはよくわからない」という方を念頭に説明を進めよう。