香月泰男美術館(山口県長門市)を訪れて立花隆さんを偲ぶ

ゴールデンウィークに山口県長門市の香月泰男美術館を訪れた。「香月泰男って知ってる?」と立花隆さんに問われたのは、私が雑誌『科学朝日』の編集部員として「立花隆が歩く 研究最前線」(1989年1月号~90年6月号)などの担当編集者をしていたときだった。私は首を振った。立花さんはそんなことはお構いなしに「すごい人なんだよ」と熱く語った。香月の故郷で思い起こされたのは、あのときの立花さんの姿だった。
高橋真理子 2026.05.18
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シベリア抑留経験を描いたシベリア・シリーズの迫力

香月の絵を私が初めて観たのはその名を知ってから随分たった2022年、東京の練馬区立美術館で生誕110年を記念する展覧会が開かれたときだ。シベリア抑留経験を描いた「シベリア・シリーズ」に圧倒された。過酷な抑留生活の実相が目の前に迫ってくるようで、恐さと敬意がないまぜになった感情に襲われてしばし絵の前から動けなかった。

1995年6月にNHKスペシャル「立花隆のシベリア鎮魂歌〜抑留画家・香月泰男〜」が放映さている。私との会話は、おそらくこの番組の準備をしていたときだろうと今になって思う。立花さんはいつも複数の仕事を平行してやっていた。普通は『科学朝日』以外での仕事については話題にしないし、このときも「NHKで番組を作っている」とは言わなかった。だが、香月について話したくて仕方なかったのだろう。

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